先に、いちばん困ることを書きます。
コウモリは捕まえてはいけません。殺してもいけません。そして市役所も駆除してくれません。
できるのは「追い出して、入ってきた穴を塞ぐ」ことだけです。しかも、追い出せる時期が限られています。
この記事は、自治体と環境省の公式ページで確認した内容だけを載せています。すべて出典を付けるので、同じ手順で確かめられます。
この記事の末尾には広告リンクがあります(2026年10月11日から)。 43自治体を確認して、コウモリを駆除する自治体はゼロでした。業者に頼む人のために、当サイトが公表情報だけで調べた4社の記事を末尾に並べました。そのうち提携している3社(駆除ザウルス・ハウスプロテクト・害獣BUZZ)の「公式サイトを見る」ボタンが広告リンクです。 順位はつけていません。提携の有無で、調べた内容は変えていません。 自治体の記述はすべて公式ページから確認したもので、広告とは無関係です。
確認日:2026年9月10日(43自治体の確認は2026年9月25日)
まず、法律で禁止されています
環境省のページに、こう書かれています。
狩猟により捕獲する場合を除いて、原則としてその捕獲、殺傷又は採取が禁止されています
コウモリもこの対象です。つくばみらい市の公式ページには、こう書かれています。
野生のコウモリは、鳥獣の保護および管理ならびに狩猟の適正化に関する法律により捕獲・殺傷が禁止
罰則についても、自治体が明記しています。 朝倉市の公式ページの記載です。
原則として、捕獲・殺傷は禁止されており、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます
この罰則の記載は、朝倉市のページに書かれているものです(登録日2022年3月4日時点)。
追記(2026年9月26日):条文を確認しました。朝倉市の「懲役」は、現在の条文と違います。
当サイトは当初、この節に「条文そのものを逐条で確認したわけではありません」と書いていました。その後、e-Gov法令検索で現行条文を直接読みました。
第八条(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の禁止)
鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。
第九条第一項(許可)
学術研究の目的、鳥獣の保護又は管理の目的その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、次に掲げる場合にあっては環境大臣の、それ以外の場合にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない。
許可を出すのは、原則として都道府県知事です。市役所ではありません。
第八十三条第一項第一号(罰則)
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
「拘禁刑」です。 朝倉市のページにある「懲役」は、改正前の表記が残っているものです。上の引用は朝倉市の原文なので書き換えていません。 当サイトが43自治体で鳩を調べたときも、罰則の刑名を書いていた3自治体は全部「懲役」のままでした。「拘禁刑」と書いている自治体は、1つもありませんでした。
禁止されている行為の中身は、どちらの表記でも変わりません。
この記事は法的な助言ではありません。 ただ、「家に入ってきたから叩き出した」で済む相手ではない、ということは知っておいてください。
市役所は駆除しません ── 43自治体を1件ずつ確認しました
2026年9月25日に、東京23区と政令指定都市20市の公式サイトを1件ずつ確認しました。 聞いたのは5つです。市がコウモリを駆除するか、「しない」と明記しているか、道具を貸すか、相談窓口があるか、補助金があるか。
結果です。
| 確認したこと | 43自治体のうち |
|---|---|
| コウモリを駆除する | 0 |
| 「駆除しない」と明記している | 4(横浜市・相模原市・浜松市・京都市) |
| コウモリについて書いたページがある | 6(上の4つ+仙台市・北九州市) |
| 忌避装置や機材を貸す | 0 |
| 補助金や助成がある | 0 |
| 東京23区でコウモリの案内ページを見つけられた区 | 0 / 23 |
表は横にスクロールできます。
駆除する自治体は、1つもありませんでした。
動物によって、市役所の答えが変わります
同じ「市役所に頼めますか」でも、相手が何かで答えが逆になります。 当サイトが同じやり方で調べた結果を並べます。
表は横にスクロールできます。
アライグマなら39自治体が業者を出します。コウモリはゼロです。 相模原市の文が、その差をそのまま書いています。
申し訳ありませんが、市ではアライグマ・生活被害を発生させているハクビシンを除く野生動物の捕獲等は行っておりませんのでご理解ください。
「アライグマ・ハクビシンを除く」。 コウモリはこの「除く」側にいます。
理由は、当サイトには断定できません。 ただし、アライグマは外来生物法の防除の対象で、市町村が計画を立てて捕獲する仕組みがあります。コウモリ(アブラコウモリ)は在来種で、その仕組みがありません。これは当サイトの読み取りであって、自治体がそう説明しているわけではありません。
「駆除しない」と書いている4つの自治体
横浜市は、Q&Aの1問として立てています。
横浜市では、コウモリの捕獲や駆除は行っておりませんので、ご自身で対処していただくようお願いします。
浜松市も同じです。
原則、市では捕獲、駆除等を行っておりません。ご自身の所有地・管理地でご自身での対応が困難な場合には、専門業者にご相談ください(作業費用は有料になります)。
相模原市は、他の動物とまとめて書いています。
申し訳ありませんが、市ではアライグマ・生活被害を発生させているハクビシンを除く野生動物の捕獲等は行っておりませんのでご理解ください。
京都市は「野生鳥獣・虫等に関する相談Q&A集」の中で、イタチ・タヌキとコウモリを1つの項目にまとめ、こう書いています。
行政機関による捕獲や駆除は行っておりませんので、ご自身での対処をお願いします。
東京23区は、コウモリという語が見つかりません
23区すべてで、コウモリについて書かれたページを見つけられませんでした。
ネズミ・ハチ・ハクビシン・アライグマ・カラス・ハト・ヘビ・トコジラミには、各区が個別のページを持っています。コウモリだけ、一貫して扱いがありません。「駆除する」とも「駆除しない」とも書いていないので、区民が区のサイトを探しても、答えに行き着きません。
区の公式サイトで「コウモリ」が出てくる場所はありました。ただし中身が違います。墨田区は生きもの写真館の図鑑、江東区は観察会の告知、台東区と熊本市は狂犬病の媒介動物の一例としての記載です。どれも「家に住みついたらどうするか」には答えていません。
ここは「存在しない」と断定はしません。 当サイトが探した範囲で見つけられなかった、ということです。区の担当課に直接聞けば、電話で案内があるかもしれません。
窓口は、保健所ではありません
これがいちばん実用的な発見かもしれません。
ネズミやハチなら保健所の生活衛生課です。コウモリは違いました。
| 自治体 | 担当課 |
|---|---|
| 横浜市 | みどり環境局公園緑地部環境活動事業課 |
| 浜松市 | 産業部林業振興課 |
| 相模原市 | 水みどり環境課(コウモリは神奈川県へ) |
| 京都市 | 文化市民局地域自治推進室/各区役所 |
| 北九州市 | 産業経済局農林水産部鳥獣被害対策課 |
| 仙台市 | 環境局環境共生課 |
表は横にスクロールできます。
6つとも、保健所ではありません。 林業、みどり、鳥獣対策。保健所に電話しても「うちではありません」と言われる可能性が高いということです。
浜松市にいたっては、このページの場所自体が「創業・産業・ビジネス > 産業振興 > 林業 > 浜松市の林業 > 野生鳥獣に関するQ&A」の下にあります。家のコウモリで困っている人が、「くらし」から辿って行き着ける場所ではありません。
相模原市は「県の管轄」と書いています
相模原市は、動物ごとに許可を出す先を分けています。
神奈川県-ツバメ、コウモリ、シカ、サル
相模原市-ハト(ドバト)、ヒヨドリ、カラス、ムクドリ、イノシシ、ハクビシン、タヌキ
コウモリは市ではなく、県です。 そしてこの一覧の見出しは「問い合わせの多い野生鳥獣と許可先」です。相模原市は、コウモリの問い合わせが多いと認識したうえで、県に回しています。
43自治体の外で見つけたもの
つくばみらい市
市では駆除や捕獲等を行っておりません
朝倉市
市では、捕獲、駆除等は行っていません。ご自身の管理地は、ご自身で防除する対応が必要です
北九州市は、コウモリの専用ページを持っている数少ない市ですが、市が駆除するかどうかは書いていません。書いてあるのは捕獲の許可についてです。
捕獲には福岡県の許可が必要
仙台市も同じで、ページはありますが「する」「しない」を書かず、宮城県と民間の協会を案内しています。
まとめると
「市役所に電話すれば来てくれる」ということは、まずありません。
当サイトがハクビシンやアライグマについて自治体の制度を調べた記事では、捕獲器を貸したり、市の委託業者が設置してくれる自治体がありました。131自治体のデータベースでも、無料で駆除する自治体が実在します。コウモリには、その制度がありません。43自治体で、貸出も補助金もゼロでした。
理由は推測になるので書きません。 書けるのは、公式ページに「行っていません」と書かれているという事実と、そもそも書いていない自治体が39あるという事実だけです。
なお、これは自治体が冷たいのではありません。 捕獲が原則禁止されている以上、自治体も勝手に捕まえられません。制度の外にある、というだけです。
追い出せる時期が限られています
ここが、この記事でいちばん知ってほしいところです。
北九州市の公式ページに、こう書かれています。
冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策
「難しい」と書かれていますが、実際にはもっと切実な問題があります。
福岡県の生きもの情報サイトには、アブラコウモリについてこう記載されています。
6~7月が出産シーズンです
出産・子育ての時期に親を追い出すと、飛べない子どもが天井裏に取り残されます。
取り残された子は、外に出られません。そして死にます。 天井裏で複数の死骸が腐れば、臭いも、湧く虫も、追い出しより厄介な問題になります。
「今すぐなんとかしたい」が通らない相手だ、ということです。
なお、北九州市の公式ページに具体的な月の記載はありません。 「夏の出産時期」「冬眠時期」という書き方です。出産シーズンが6〜7月というのは福岡県の生きもの情報サイトの記載で、地域や年によって前後する可能性があります。 ネット上には「7〜8月は避けろ」と月を断定している記事が多くありますが、当サイトが確認した公式情報では、月まで断定していませんでした。
時期の判断は、お住まいの自治体か専門業者に確認してください。
自治体が挙げている追い出しの方法
公式ページに書かれていた方法です。
朝倉市
ライトなどの強い光で誘導して家の外に追い出し、侵入口を塞ぎましょう
CDやアルミ箔等を設置する
北九州市
火を使わないタイプの害虫駆除剤を屋根裏に置く
ナフタリン等の忌避財を置く
ライトアップをする
どれも「追い出す」ための方法です。捕まえる方法ではありません。 そこは法律の枠内に収まっています。
そして、どの方法にも共通する限界があります。
追い出しただけでは終わりません。 入ってきた穴を塞がなければ、また戻ってきます。コウモリは同じねぐらに執着します。忌避剤の効果が切れたら、元通りです。
朝倉市の記載も「追い出し、侵入口を塞ぎましょう」とセットになっています。塞ぐところまでが対策です。
糞は素手で触らないでください
つくばみらい市の公式ページに、こう書かれています。
野生のコウモリには、寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着している恐れがあるため、素手で触らないようにしましょう
コウモリの被害で最初に気づくのは、たいてい糞です。 玄関先やベランダに、黒くて細長いものがパラパラ落ちている。
掃除する前に、手袋とマスクを用意してください。 乾いた糞は掃くと舞います。
当サイトは、具体的な消毒方法までは書きません。 感染症のリスクについて、当サイトは専門的な判断ができないからです。心配な場合は、自治体の保健所か医療機関にご相談ください。
高いところの作業は、無理をしないでください
つくばみらい市の公式ページに、こう書かれています。
高所である場合には危険ですので、専門業者への依頼についてもご検討ください
自治体が、高所作業について業者を勧めています。
コウモリの侵入口は、屋根の隙間、換気口、瓦の下といった高い場所にあることがほとんどです。塞ぐには、そこまで上がる必要があります。
「自分でやれば安く済む」と考える前に、その場所に安全に上がれるかどうかを見てください。 屋根からの落下は、駆除費用より高くつきます。
業者に頼む場合
コウモリの対策は、実質的にこの3つです。
- 時期を選んで追い出す(出産期・冬眠期は避ける)
- 侵入口をすべて塞ぐ(1か所でも残れば戻ります)
- 糞の清掃と消毒
このうち2と3が、たいてい高所と狭所の作業になります。 そこが業者に頼む理由です。
費用について、当サイトは金額を書けません。 依頼していないからです。そして当サイトが調べた害獣駆除4社は、いずれも公式サイトに料金表を公開していませんでした。
- 害獣駆除の業者を、公表情報だけで4社くらべた — 対応エリア、公開項目、「協会」の中身。順位はつけていません
見積もりは複数社から取ってください。 世田谷区の公式ページにも「複数の見積書を取り寄せ、工事内容や請負金額について確認することをお勧めします」と書かれています。行政が相見積もりを勧めています。
