最初にお断りします。この記事は相場表ではありません。
当サイトは駆除を依頼していないので、「いくらが妥当か」を書けません。 書けるのは、公的機関が公表している数字と記載だけです。すべて出典を付けるので、同じ手順で確かめられます。
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確認日:2026年9月10日
確認できたこと
- 国土交通省の積算要領に、ねずみ防除の標準単価はありません。 「見積り、刊行物の掲載価格又は過去の実績等から費用を算定する」と書かれています
- 国の労務単価にも、ねずみ防除の職種がありません。 載っているのは保全・清掃・警備の12区分です
- 一方で、自治体や県が実際にいくらで発注したかは公表されています。 当サイトは4つの公表資料から、7件分を確認しました
- ただし、行政の委託と住まいの駆除は中身が違います。 建築物衛生法が求めているのは、六月以内ごとに一回の調査です
- 国の考え方は「駆除」ではなく、発生源対策・侵入防止を先に行うというものでした
- 国民生活センターは、安い表示から高額請求に至った相談事例を公表しています。 ネズミの事例は「一軒家約5,000円~」から約13万円でした
- 消費者庁は、営業のセリフまで記録して公表しています
なぜ相場が出てこないのか。国の基準を見てください
当サイトは費用の記事で、害獣駆除の料金がどこにも書いていないと書きました。 その理由の一端が、国の文書にありました。
国土交通省の「建築保全業務積算要領 令和5年版」は、国が建物の維持管理を発注するときの積算のルールです。その表2.2「直接物品費率」の注記に、こう書かれています。
※1 ねずみ等の調査及び防除については、当該業務に係る見積り、刊行物の掲載価格又は過去の実績等から費用を算定する。
「見積り、刊行物の掲載価格又は過去の実績等から」です。 標準の歩掛りや単価が示されていません。
もう1つあります。国土交通省は毎年「建築保全業務労務単価」を公表しています。令和8年度の掲載職種は、次の12区分だけでした。
| 業務 | 職種 |
|---|---|
| 点検・保守及び運転・監視 | 保全技師Ⅰ、保全技師Ⅱ、保全技師Ⅲ、保全技師補、保全技術員、保全技術員補 |
| 清掃 | 清掃員A、清掃員B、清掃員C |
| 施設警備 | 警備員A、警備員B、警備員C |
表は横にスクロールできます。
ねずみ防除の職種はありません。
つまり、国が自分の建物を管理するときですら、ねずみ防除には「いくら」という基準を持っていません。 民間の会社が料金表を出しにくいのは、当サイトの推測ではなく、国の基準がそうなっているという話でした。
当サイトはこれを、業者を擁護する材料としては書いていません。 次に書くとおり、公表されている数字はあります。
代わりに、行政がいくらで発注したかは公開されています
ここが、当サイトが独自に集めたところです。
自治体や県は、委託の契約金額や支出額を公表しています。「ねずみ」を含む件名で見つかった公表資料から、金額をそのまま並べます。
| 発注者 | 件名(公表されているとおり) | 金額 |
|---|---|---|
| 大阪市 水道局 | 令和6年度水道局庁舎ねずみ及び衛生害虫防除業務委託 | 64,240円 |
| 大阪市 水道局 | 令和6年度北部水道センターねずみ及び衛生害虫防除業務委託 | 27,204円/49,796円 |
| 大阪市 水道局 | 令和6年度東部水道センターねずみ及び衛生害虫防除業務委託 | 20,163円/42,232円/20,105円 |
| 大阪市 建設局 | 令和5年度北部方面管理事務所管理棟庁舎ねずみ等調査業務委託 | 62,700円 |
| 宮崎県 | 県庁舎の衛生害虫防除業務委託に係る条件付一般競争入札 | 1,980,000円(税込) |
| 江東区 | 衛生害虫等相談及びそ族昆虫駆除業務委託 | 25,410,000円(税込) |
| 江東区 | 殺虫消毒委託(出張所・区民館) | 841,280円(税込) |
表は横にスクロールできます。
読み方に注意が要ります。
- 大阪市水道局の資料は「令和6年度 委託料支出一覧」で、契約額ではなく支出額の一覧です。1件が複数回に分けて支出されているものがあり、上の表はその内訳をそのまま並べています
- 宮崎県は落札金額です。開札は令和8年6月25日、落札者は第一ビル管理株式会社と公表されています
- 江東区の25,410,000円には「相談」が入っています。 件名が「衛生害虫等相談及びそ族昆虫駆除業務委託」です。駆除だけの金額ではありません。 指名競争入札で、契約日は2023年4月1日、参加者は10者と公表されています
- 上の表に載せたのは、当サイトが独立して2回確認できたものだけです。ほかにも同種の件名は見つかりましたが、再確認が済んでいないものは載せていません
ここで目を引くのは、大阪市水道局の庁舎です。
建物1棟のねずみ及び衛生害虫防除で、令和6年度の支出が64,240円。 水道センターは2万〜5万円台の支出が並んでいます。
ただし、これを住まいの見積もりと比べないでください
ここは、はっきり書いておきます。
行政のこの金額と、あなたの家の見積もりは、比べられません。 中身が違うからです。
理由は法律にあります。建築物衛生法施行規則の第四条の五第二項第一号に、こう書かれています。
ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ等による被害の状況について、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。
「六月以内ごとに一回、定期に、統一的に調査」です。
つまり行政が発注しているのは、多くが「定期的に見に来て、必要なら手を打つ」契約です。すでにネズミが住み着いた家で、追い出して、侵入口を塞ぐ工事とは、別の仕事です。
当サイトは、行政の委託の仕様書を確認できませんでした。 何を何回やる契約なのかは、上の金額からは分かりません。だから「行政は6万円でやっているのに、なぜ家は40万円なのか」とは書きません。 それは比較になっていません。
では、この数字は何の役に立つのか。
「ねずみ防除という仕事に、実際に公金でいくら支払われているか」の実例です。 見積もりを見て途方に暮れたときに、同じ言葉で呼ばれている仕事に、そういう価格帯もあるという事実を知っているかどうかは、質問の仕方を変えます。
国の考え方は「駆除」ではなく「調べて、環境を直す」でした
これは、見積もりを読むときの物差しになります。
厚生労働省の「衛生管理の基準の解説」に、規則が変わった経緯が書かれています。
ロ 1年に2回以上、ねずみ及び昆虫の駆除作業を実施し、その実施記録を1年間保存すること。ただし、ねずみ及び昆虫の年2回以上の駆除に替わる手法として、ねずみ及び昆虫の定期的な生息状況等の調査を重視した、総合的有害生物管理(IPM)の考え方を取り入れた防除法を規定。
「年2回以上の駆除」から、「調査を重視した防除法」へ切り替わっています。
その中身が、厚生労働省の「建築物における維持管理マニュアル」の第6章「ねずみ等の防除」に書かれています。
まず、環境整備を含めた発生源対策、侵入防止対策等を行う。発生源対策のうち、環境整備等については、発生を防止するという観点から、建築物維持管理権原者の責任のもとで実施する。また、当該区域の状況に応じて、薬剤やトラップの利用、侵入場所の閉鎖などの防虫・防鼠工事を組み合わせて実施する。
順番を見てください。 まず発生源対策と侵入防止。そのうえで、状況に応じて薬剤やトラップ、侵入場所の閉鎖を組み合わせる。
薬をまいて終わり、が国の考え方ではありません。
当サイトはネズミの種類の記事で、東京都の資料を引きました。 相談の9割以上がクマネズミで、そのクマネズミには毒えさが効きにくい。薬に頼れない相手だからこそ、建物側を直す作業が要る——国の基準と、東京都の資料は、同じ方向を向いています。
そして侵入口の封鎖は、建物の工事です。 当サイトが市役所の記事と自治体のネズミ対応データベースで確認したとおり、行政はそこをやりません。 費用が発生する領域は、そこです。
安い表示から高額請求へ。国が記録に残しています
ここからは、国民生活センターと消費者庁が公表している記録です。
国民生活センターは2024年4月24日に「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意-若い年代でトラブル急増中!-」を公表しています。同センターは、こう書いています。
相談はここ数年増加傾向が続き、2023年度は2022年度同期と比べて約1.5倍に増加しています。
そのなかに、ネズミの事例があります。全文を載せます。
自宅にネズミが出たので、ネットに「一軒家約5,000円~」と記載があった業者に見積もりのために来てもらった。「人が入れない場所があるので半分だけ調査する」「ネズミの侵入経路は見当たらないが、たくさんいるようだ」と説明され、動画サイトでネズミ被害の動画を見せられた。料金はネットの表示価格と大きく違い約13万円と言われたが、動画を見せられ不安になっていたので契約することにして頭金約5,000円を支払い、作業をしてもらった。しかし、その後不審に思い、別業者にも来てもらったところ、前の業者が入れないと言っていた部分も調査してくれて「ネズミの侵入経路がわかった」と説明を受けた。また、「ホームセンターで売っている粘着シートを数枚引いてあるだけであり、素人が作業したのではないか。約13万円は高額だ」と言われた。契約書にはクーリング・オフのことが書かれていたので、電話してクーリング・オフを申し出たが、できないと言われた。どうしたらいいか。(2023年12月受付 50歳代 女性)
この事例で起きていることを、順に見てください。
- 表示は「一軒家約5,000円~」
- 「人が入れない場所があるので半分だけ調査する」
- 「侵入経路は見当たらないが、たくさんいるようだ」
- 動画を見せられる
- 請求は約13万円
- 別の業者は、入れないと言われた部分も調査して侵入経路を見つけた
- やってあったのは「粘着シートを数枚」
前の節と並べて読んでください。 国の基準は「まず発生源対策と侵入防止」です。侵入経路が分からないまま粘着シートを置くのは、その順序と逆です。
当サイトは、この業者を評価する立場にありません。 言えるのは、「侵入経路が分かったかどうか」が、作業の中身を測る質問になる、ということです。
同じ構図は、2025年にも公表されています
国民生活センターは2025年3月4日にも「【広告の格安料金に要注意!】作業後に高額請求する害虫駆除トラブル」を公表しています。ネズミではなくゴキブリの事例ですが、構図が同じです。
賃貸アパートの寝室でゴキブリがベッドに飛んできた。明け方なので大家には連絡せず、スマートフォンで「ゴキブリ駆除」「業者」と検索し、「約500円~」と書いてあった業者に電話をすると「30分で訪問可能」と言われ、その後、担当者から折り返しがあったが住所などの確認のみで、詳しい作業内容や料金の説明はなかった。作業員1名が訪問し、室内を点検後、隙間箇所やエアコンにスプレーを噴射した。作業員から呼ばれたので見に行くと「フンや卵があった」と言われ卵2個を見せてもらったが発見した瞬間は見ていない。「室内全体の燻蒸作業が必要」等と言われ、約20万円の料金を請求された。作業完了後、その場で半額のみ支払い、残金は後日、銀行振込する約束をしたが、あまりにも高額ではないかと思う。クーリング・オフしたい。(2024年8月受付 20歳代 女性)
もう1件あります。
1人暮らしの部屋にゴキブリが出た。インターネットで「約1,000円から」と記載されていた駆除業者に電話で依頼した。電話では料金についての説明はなく、せいぜい数千円くらいだろうと思っていた。8畳程度の部屋の駆除作業とクリーニング、薬剤散布などを行ってもらったが、作業後に作業請負契約書を提示され、料金は約50万円と言われ、その日は約10万円を現金で支払った。作業請負契約書にはクーリング・オフに関する記載はない。作業内容として、クリーニング、燻煙剤、残効性薬剤、フェロモン除去、侵入経路一式、追い出し剤等と記載されていた。残金を支払わなければならないか。(2024年8月受付 20歳代 男性)
8畳で約50万円です。
そして注意してほしいのは、2件目の「作業内容」の書き方です。 契約書には「クリーニング、燻煙剤、残効性薬剤、フェロモン除去、侵入経路一式、追い出し剤等」と並んでいます。「侵入経路一式」に、いくら乗っているのかが分かりません。
消費者庁は、営業のセリフまで記録しています
これがいちばん実用的な資料でした。
消費者庁は令和6年9月30日に、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項にもとづく注意喚起を公表しています。表題はこれです。
ウェブサイト上では適正かつ低額な料金で駆除作業を行うかのように表示しているが、実際には高額な料金を請求するゴキブリ駆除業者に関する注意喚起
景品表示法の措置命令ではありません。 消費者安全法にもとづく注意喚起です。そこは正確に書きます。
対象は株式会社ORBITAL PERIOD、ウェブサイトは「害虫110番」。サイトの表示はこう記録されています。
関東エリア 最安レベルに挑戦! 追加料金一切なし! 税込550円~
「追加料金一切なし! 税込550円~」です。 実際に何が起きたかも記録されています。
作業員は、ゴキブリを駆除するための薬剤散布などを提案するとともに、料金については、十数万円から二十数万円だと説明します。
そして、躊躇した人に何を言うかまで書いてあります。
・「卵があるから数日には赤ちゃんが生まれる。卵からフェロモンが出ている」 ・「これをやればゴキブリにおびえることもない」 ・「3匹ってことは実際にはこの何倍もいる。これからの季節は更に増えてくる」 ・「薬剤の分量を減らせば価格も抑えられる・・・駆除の効果はある」 ・「この部屋は、ゴキブリが出入りできるすき間ばかりある。しっかり経路を絶たないとまたゴキブリが出てくる。ゴキブリに悩まされたくないのであれば、今すぐここを引っ越すか侵入経路を絶つしかない」
これは国が記録した実際の営業トークです。
共通しているのは、見えないものを根拠に不安を大きくすることでした。卵。何倍もいる。すき間ばかり。そして先ほどのネズミの事例では、動画でした。
誤解のないように書きます。 卵がある、実際はもっといる、すき間が多い——これらは、事実である場合もあります。 問題は内容そのものではなく、それが確認できる形で示されるかどうかです。
写真は撮ってもらえますか。 侵入口はどこですか。 その作業は見積もりのどの行ですか。 答えられるなら、それは説明です。
見るべきは総額ではなく、内訳です
当サイトが「これがネズミ駆除の相場です」と書くことはありません。 依頼していないからです。
代わりに、上の資料から言えることを書きます。
- 「〇〇円〜」の下限は、判断材料になりません。 国民生活センターの3件はすべて、5,000円・500円・1,000円という表示から始まっています
- 国の基準に照らすと、最初にやるべきは調査と侵入防止です。侵入経路が特定できたかを聞いてください
- 「侵入経路一式」のような書き方は、金額の中身が分かりません。 行ごとに何をいくらでやるのかを聞いてください
- 書面をもらってください。 2件目の相談者は、契約書にクーリング・オフの記載がありませんでした
- その場で全額を払わないでください。 国民生活センターは「請求額に納得できない場合、その場での支払いはきっぱり断り」と案内しています
- 訪問して契約した場合、特定商取引法のクーリング・オフが適用となる可能性があります(国民生活センター)
- 迷ったら消費生活センターに相談してください。 全国共通の消費者ホットラインは188です
この記事が書けなかったこと
- ネズミ駆除の相場。 当サイトは依頼していません。書けば推測になります
- 行政の委託の仕様。 何を何回やる契約なのか、公表資料から確認できませんでした
- 行政の金額と住宅の見積もりの比較。 中身が違うので、比べられません
- 自治体が公表している「費用の目安」。 当サイトが調べた範囲では、金額のレンジを公表している自治体は見つかりませんでした。書かれているのは「駆除費用は自己負担」までです
- 各社の料金。 業者の比較記事に書いたとおり、料金表を公開している会社はありませんでした
- 火災保険が使えるかどうか。 約款を確認できていないので書きません
- 相談件数の内訳。 公表資料の図から数字を読み取ることはしません
見積もりを受け取ったら、確認すること
- 侵入経路は特定できたのか。 場所を写真で見せてもらう
- 内訳は行ごとに出ているか。 「一式」がいくつあるかを見る
- 調査と、施工と、封鎖工事は、それぞれいくらか
- 書面はあるか。 クーリング・オフの記載があるか
- その場で全額を払わない
- 保証は何年で、何に対するものか。 再発の判定は誰がするのか
- 自分の市区町村が薬を配っていないか。 自治体のネズミ対応データベースで確認できます
- 賃貸なら、先に大家か管理会社へ。 順序は賃貸の記事に書きました
- 登録名簿と照合する。 名簿を公開している都道府県はネズミの記事にまとめました
- おかしいと思ったら188へ
