最初にお断りします。この記事は、行政の公式資料に書いてあることだけを載せます。
当サイトは管理会社でも業者でもありません。書けるのは、東京都と港区が公表している文書の中身だけです。すべて出典を付けるので、同じ手順で確かめられます。
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確認日:2026年9月11日
確認できたこと
- 分譲マンションは「管理組合が主体となって対策をとることが肝要」だと東京都が書いています
- 費用は「修繕積立金等から出すか、臨時に徴収するか」——その決定が要ると書かれています
- 賃貸住宅は「家主が主体となる」と書かれています
- 管理組合がやることは、アンケートから始まる4段階で書かれています
- ビルの場合、所有者とテナントの役割分担が原文で書き分けられています
- 自分の部屋だけ駆除しても、また来る可能性があると東京都は認めています
- 解体工事でネズミが来ることについて、東京都は「具体的に立証された例はない」と書いています
- それでも「考慮すべき事態」としています
- 東京都が参照している港区の指針は、平成20年に廃止されていました。 現行は別の要綱です
東京都は「管理組合が主体」と書いています
東京都の「行政担当者のための ねずみについてよくある質問&回答集」に、そのままの質問があります。「3 ねずみの防除に関する質問」のQ7です。
「マンションでねずみ被害が発生した場合、どうすればいいか。」
回答です。
マンションの場合は管理組合が主体となって対策をとることが肝要である。ねずみの被害が発生した場合は、まず被害発生の周知と、アンケート等でマンション全体の被害状況を調べ、侵入経路、拡散状況等を把握する。同時に、ねずみの温床となっている可能性のあるごみ置き場などを調査し、それぞれの結果に基づいて対応策を講じる。対応策としては、防そ工事を管理組合と業者とが協議して実施するとともに(工事費用を修繕積立金等から出すか、臨時に徴収するか等の決定が必要)、ごみの出し方や施設の使用方法についてルールを定め、住民全員に守ってもらうことが重要である。
「管理組合が主体となって」。 自分の部屋の話ではなく、建物全体の話として書かれています。
費用の出どころは、2つ書かれています
括弧の中に、費用の話が入っています。
「工事費用を修繕積立金等から出すか、臨時に徴収するか等の決定が必要」
修繕積立金か、臨時徴収か。 どちらかを決める必要がある、と書かれています。
金額については、この資料には書かれていませんでした。 費用の目安はネズミ駆除の相場が、どこにも書いていない理由に、行政の発注額と国の積算基準から整理しました。
管理組合がやることは、4段階で書かれています
東京都は同じ指針の別の資料(「窓口対応の実践例」)に、手順を書いています。 見出しは「管理組合(または家主)への対処手順」です。
1. アンケート調査を行い、各戸の被害状況を調べる
○目的:ねずみ生息の拡散状況把握、侵入経路の予測 ○注意:全戸で実施する
「全戸で実施する」。 被害を訴えている部屋だけではありません。
2. 全居住者に餌と巣材の除去等、環境整備の必要性を伝える
○注意:テナント(特に飲食店等)の協力も必要である
3. アンケート調査結果及び共用部分の調査により、ねずみの出入り口を調べ、必要に応じた修繕をする
○注意:業者に修繕を依頼する場合は、作業の仕様書を作成し見積もりを取る。作業には立会う。仕様書には効果判定を含める。
ここは実務的です。 仕様書を作る。見積もりを取る。立会う。 そして仕様書に効果判定を含める。
「効果判定を含める」は、当サイトが確認した範囲で、行政が管理組合に向けて書いたいちばん具体的な指示でした。やって終わりではなく、効いたかどうかを判定する項目を契約に入れろという意味です。
4. ごみ保管場所等の共用部分が餌や巣材の提供場所になっている場合は、防そ修繕のみでなく、ごみの保管方法や入口の開閉等の生活ルールを決める
工事だけでは終わらない、と書かれています。
賃貸なら、家主が主体です
同じ資料に、賃貸と分譲の書き分けがあります。
集合住宅では居住者全体(住宅全体)での対応が必要であり、分譲住宅の場合は管理組合の理事長、賃貸住宅の場合は家主が主体となる。
分譲は管理組合の理事長。賃貸は家主。
ただし、費用を誰が負担するかは、この資料には書かれていませんでした。 賃貸の費用負担については、賃貸で害獣が出たら、費用は誰が払うのかに、民法の条文から整理しました。
自分の部屋だけ駆除しても、また来ます
東京都の Q&A集に、そのままの質問があります。「2 ねずみの被害に関する質問」のQ8です。
「集合住宅に住んでいるが、自分の家では駆除しても、また他から来てしまう可能性はあるか。」
回答は短いです。
その可能性はある。近隣が一斉に駆除を行ったり、ねずみがいない時に防そ工事を施したりするなどの対策が重要である。
「その可能性はある」。 行政が、はっきり認めています。
そして対策が2つ書かれています。 「近隣が一斉に駆除を行ったり」と「ねずみがいない時に防そ工事を施したり」。
「ねずみがいない時に」というのが大事なところです。中にいる状態で塞ぐと、中で死にます。その手順は天井裏でネズミの音がするに、墨田区の6段階の手順を載せました。
なお、クマネズミの行動範囲について、東京都は「半径約 30mぐらい」と書いています。マンション1棟は、その範囲に丸ごと入ります。
店舗・テナントの場合は、役割分担が書かれています
東京都の Q&A集に、テナント向けの質問もあります。「3 ねずみの防除に関する質問」のQ6です。
「ビルのテナントだが、店にねずみが出ている。商品(食品)を齧られる。駆除方法は?」
(質問文の括弧が、開きだけ半角になっています。原文のままです。)
テナントが個々に駆除を行っても、十分な効果は上がらないので、ビル全体での防除が必要であろう。そのため、ビルにおいて効果的なねずみ防除を行うためには、所有者とテナントの間で役割分担を決め、それが円滑に遂行されているかを確認することが必要である。具体的には、ビル本体の防そ工事を所有者が行い、テナントはごみや食品等の取扱い、清掃方法等について決められたルールを守ってねずみの発生防止に努めることである。この場合、防除業者に、定期的に効果判定を実施してもらい、専門家の観点から環境対策についてのアドバイスを受け、被害発生防止のための監視の役割を担ってもらうことが必要である。
「テナントが個々に駆除を行っても、十分な効果は上がらない」。
役割分担は、箇条書きで書かれています
「窓口対応の実践例」に、「事業所でのねずみ対策役割分担」という見出しの箇条書きがあります。
所有者の役割
○建築物や付帯設備の防そ修繕 ○テナントが代わる機会などに、配管・配線の貫通部分の防そ施工を行なう。
「テナントが代わる機会などに」。 入れ替わりのタイミングを、工事の機会として使えと書かれています。
テナントの役割
○内装の際に、ねずみが営巣しやすい空間を作らないようにするとともに、室内から化粧壁内部に入れないよう、配管・回線まわりを防そ施工する。 ○飲食物やごみの適正な保管、厨房の清掃の徹底 ○駐車場、バックヤード、ごみ保管場所の出入口開放禁止等のルールを守る。 ○ねずみの侵入があったら、速やかに管理会社に連絡する。
「内装の際に」。 テナント側も、工事のときが勝負だと書かれています。
引用は原文のままです。 所有者の側は「配管・配線」、テナントの側は「配管・回線」と、同じページの中で漢字が違っています。当サイトはこの2か所を、逐語で取り直して確認しました。原文がそうなっています。
「速やかに管理会社に連絡する」も、テナントの役割として書かれています。自分で抱え込まない、ということです。
解体工事でネズミが来る、は本当か
近所で解体工事が始まってからネズミが出た、という話があります。
東京都の Q&A集に、この質問があります。 「3 ねずみの防除に関する質問」のQ8です。
「近くで解体工事がある。ねずみが来ないようにするためにはどうしたらいいか。」
回答の1文目が、意外でした。
設問のような現象が解体時に発生することについては、具体的に立証された例はない。
「具体的に立証された例はない」。
ただし、そこで終わっていません。
しかし、多くの住民や防除業者などからこの現象にかかわる目撃例、体験例が寄せられており、考慮すべき事態と考えられる。従って、事業者は、建物の解体前にねずみの生息調査を行い、生息が認められた場合は駆除を行い、効果判定することが望まれる。また、解体工事を行う建物の近隣の住宅は、自己防衛の意味でねずみ侵入防止のための対策をとることが望ましい。建物の解体に際しねずみ駆除の指導を行っている自治体もある(港区「港区における建築物の解体工事に関する指針」第2部Ⅱ-3(3)参照)。
「立証された例はない」が「考慮すべき事態」。 そして解体する事業者の側に、事前の生息調査と駆除を求めています。
近隣の住宅には「自己防衛の意味で」対策を、と書かれています。
別の質問では、理由が説明されています
同じ資料の「1 ねずみの生態に関する質問」のQ4に、こうあります。
「近所で大規模な工事が始まってからねずみが出るようになったが、なぜか。」
ねずみは新しいものや状況に対して特に警戒心が強く、ちょっとした環境や状況の変化も察知する能力がある。従って、工事でいつもと違う騒音がするのを警戒して、住んでいた場所を逃げ出したり、解体によって住処を奪われたりして民家に入ってくるとする考え方が有力である。
「とする考え方が有力である」。 ここでも、断定していません。
(原文の「逃げ出したり、」の読点は、この資料で使われている記号のままです。)
東京都が参照している港区の指針は、廃止されていました
ここは、当サイトが調べて分かったことです。
東京都が参照先として挙げている「港区における建築物の解体工事に関する指針」(平成16年1月14日付け15港街建第150号)は、平成20年6月1日に廃止されています。
港区の例規集に、廃止の規定があります。
港区における建築物の解体工事に関する指針(平成16年1月14日付け15港街建第150号)は、廃止する。
東京都の指針は平成17年2月の発行です。 当時は有効だった参照先が、その後18年以上、更新されないまま残っています。
ただし、内容は引き継がれています。 現行の「港区建築物の解体工事等の事前周知等に関する要綱」の第11条第1項第2号に、こうあります。
ねずみ等防除の衛生対策を講じること。
港区が出している手引き(「手続きのご案内」)には、もう少し具体的に書かれています。
○解体工事着手前には、ネズミ等の生息調査をしてください。 ○害獣・害虫の存在を確認した場合には、周辺環境に配慮し、衛生対策を講じてください。
「解体工事着手前には、ネズミ等の生息調査をしてください。」
これは現行の文書です。 港区で解体工事をする事業者には、いまも求められています。
近所で解体工事の看板が立ったら、この文書の名前を出して聞くことができます。 ただしこれは港区の要綱です。 他の自治体に同じ定めがあるかは、当サイトは確認していません。お住まいの区市町村でご確認ください。
この記事が書けなかったこと
- マンションのネズミ駆除の費用の相場。 東京都の資料に金額はありませんでした
- 賃貸で費用を誰が負担するか。 東京都の資料に書かれていませんでした
- 管理組合が動いてくれないときにどうするか。 行政の資料に手順がありませんでした
- 隣室や隣の建物が原因のとき、行政がどこまで介入できるか。 東京都のQ&A集55問に、この論点の設問はありませんでした
- 建築物衛生法(ビル管法)の対象建築物の義務。 このQ&A集には「建築物衛生法」「特定建築物」の語が出てきませんでした
- 飲食店の営業への影響(休業や食品衛生法上の措置)。この資料にはありませんでした
- 港区以外の自治体に、解体工事のねずみ対策の定めがあるか。 確認していません
- 東京都が参照している港区の旧指針の本文。 廃止済みで、入手できませんでした
管理組合・オーナー・テナントが確認しておくこと
- 誰が主体か。 分譲は管理組合、賃貸は家主。東京都がそう書いています
- 費用の出どころを先に決める。 修繕積立金か、臨時徴収か
- アンケートは全戸で。 被害を訴えた部屋だけでは、侵入経路が見えません
- ごみ置き場を見る。 東京都が名指しで挙げています
- 仕様書を作り、見積もりを取り、立会う。 東京都の記載です
- 仕様書に効果判定を入れる。 やって終わりにしない、ということです
- ねずみがいない時に塞ぐ。 中にいる状態で塞ぐと、中で死にます
- テナントの入れ替わりを工事の機会にする。 所有者の役割として書かれています
- 近所で解体工事が始まるなら、事前の生息調査を聞いてみる。 港区では要綱で求められています
