最初にお断りします。この記事には、当サイトの過去記事の訂正が2件含まれます。
当サイトは費用の記事で、金額の目安を公表している自治体は見つからなかったと書きました。これは誤りでした。 東京都が書いていました。以下に訂正します。
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確認日:2026年9月10日
この資料は何か
東京都の「ねずみ防除指針」に、資料として付いているものです。冒頭に、こう書かれています。
この資料は、ねずみに関する相談窓口業務の参考のため、一般住民から寄せられるよくある質問と回答例を集めたものです。
保健所の相談窓口が、住民に答えるための資料です。 表題はこうです。
<資料>行政担当者のための ねずみについてよくある質問&回答集
中身は55問で、生態・被害・防除・技術・業者の紹介に分かれています。つまり、電話をかけた住民に職員が返す答えが、そのまま公開されています。
先に、重要な注意を書きます。
この資料には、発行年月の記載が見当たりませんでした。 本文中に平成11年度から15年度までのデータへの言及があり、業者団体は「(社)東京都ペストコントロール協会」という旧い法人格の表記になっています。かなり前に作られた資料である可能性が高いです。
特に、これから紹介する金額は、そのまま今の相場だとは考えないでください。 当サイトは、資料に書かれている数字をそのまま写すだけです。
訂正1:東京都は、費用の目安を書いていました
当サイトの費用の記事には、こう書いてありました。
自治体が公表している「費用の目安」。当サイトが調べた範囲では、金額のレンジを公表している自治体は見つかりませんでした。
見つけられていなかっただけでした。訂正します。
資料の「業者の紹介に関する質問」Q3が、これです。
Q3 駆除を依頼した場合、費用はどのくらいが相場か。
回答の全文を載せます。
ねずみの駆除には複数回の作業が必要である。(社)日本ペストコントロール協会の調査では、3回が18%、2回と4回が14%、6回以上が13%、5回が7%、1回が2%であった。調査によって大まかな概算は見積もりすることができる。周囲の環境、住宅構造、環境状態によって異なるので一概には言えないが、初回作業で3万~6万、2回目以降は1回あたり1万5千から3万、状況によっては駆除後毎月点検を行う年間契約が必要な場合もある。家屋内外のすき間を封鎖する防そ工事は構造によって異なるが、5万~10万は考えた方がよい。いずれにしても、調査をしてもらい見積書をもらって十分説明を聞くことが必要である。床下換気扇や調湿剤を勧めて100万円以上も請求されるといった苦情が消費者センターに持ち込まれるが、ねずみ駆除ではこのような作業は必要ない。
読みどころが3つあります。
1つめ。1回で終わったのは2%です。
3回が18%、2回と4回が14%、6回以上が13%、5回が7%、1回が2%であった
「1回で駆除完了」を前提にした見積もりは、この調査とは合いません。
2つめ。作業と工事が、別の数字で書かれています。
| 項目 | 資料の記載 |
|---|---|
| 初回作業 | 3万~6万 |
| 2回目以降(1回あたり) | 1万5千から3万 |
| 家屋内外のすき間を封鎖する防そ工事 | 5万~10万 |
表は横にスクロールできます。
当サイトは国の基準を引いて、効くかどうかを分けるのは侵入口を塞げるかどうかだと書きました。 その封鎖工事に、別枠で金額が付いています。見積もりを見るときは、この2つが分かれているかを見てください。
3つめ。ねずみ駆除に要らない作業が、名指しされています。
床下換気扇や調湿剤を勧めて100万円以上も請求されるといった苦情が消費者センターに持ち込まれるが、ねずみ駆除ではこのような作業は必要ない。
床下換気扇と調湿剤です。 東京都が、ねずみ駆除ではこのような作業は必要ないと書いています。
「一般家屋の場合、費用は100万円以上の単位はありえない」
同じ資料のQ1に、もっとはっきりした一文があります。
Q1 専門家に駆除を頼みたいが、どこがいいか。
回答の後半です。
一般的に信頼できる業者の基本になるのは、専門的知識に基づいた防除がなされ、かつ会計が明瞭なところを選ぶことである。一般家屋の場合、費用は100万円以上の単位はありえないし、依頼したネズミだけではなく、シロアリなどへ話を進めようとする業者は注意した方がよい。
「100万円以上の単位はありえない」と、東京都が書いています。
そして「シロアリなどへ話を進めようとする業者は注意した方がよい」。 別の工事に話が広がるパターンが、名指しされています。
当サイトが費用の記事に載せた国民生活センターの相談事例と、並べて読んでください。 ネズミの事例は「一軒家約5,000円~」の表示から約13万円、ゴキブリの事例は8畳の部屋で約50万円でした。そして東京都は、一般家屋で100万円以上はありえないと書いています。
もう一度書きます。この資料は古い可能性があります。 それでも、「別の工事に話が広がったら止まる」という判断の材料としては、いまも使えます。
東京都版・良い業者の見分け方
Q4は、職員が住民に説明するための答え方です。
Q4 「より良い業者を選ぶには?」という問い合わせに対する的確な説明方法は?
回答の全文です。
良い業者を選ぶめやすは、良い病院を選ぶのと同じである。すなわち;(1)専門知識に基づいた防除がなされていること。(2)説明責任を果たしていること。の2つが挙げられる。具体的には①生息調査と防除後の効果判定を適切に実施していること。②殺そ剤や粘着トラップを使用した、物理的、化学的防除以外に、環境的防除の側面からも対策を講じたり指導を行ったりすること。③防そ工事の内容、施工方法等について顧客にきちんと説明し、理解を得ていること。などが挙げられる。また、点検商法、飛び込み営業、脅かし営業等により、不必要に顧客の危機感をあおる営業形態も不適切と言わざるを得ない。なお、(社)日本ペストコントロール協会では優良事業所や1~3級技術者を認証しているので、これらも選択の一つの目安になる。
①の「効果判定」に注目してください。
駆除したかどうかを、あとから判定する工程です。 当サイトが業者の比較記事で4社の公式サイトを調べたとき、工程を段階で示していたのは1社だけでした。効果判定を明記している会社は、確認できませんでした。
「何をもって駆除できたとするのか」を聞いてください。 それが東京都の言う①です。
そして「脅かし営業」という言葉が、行政の資料に出てきます。 当サイトが費用の記事に載せた消費者庁の記録では、卵、何倍もいる、すき間ばかりという営業トークが並んでいました。同じものを指しています。
超音波捕そ器は、効くのか
ここが、この資料でいちばん検索されている問いへの答えです。
Q6 超音波捕そ器は、効くのか。 A:実験的には音圧が130デシベル以上あると、ある程度忌避する行動が見られるという結果が得られているが、実用的には評価はまちまちであり、また仮に効果がある場合でも絶対ではない。総合的に見ると実用効果については否定的な意見のほうが多いように思われる。
言い方をよく見てください。
「効かない」とは書いていません。 130デシベル以上ならある程度忌避する行動が見られるという実験結果はある、としています。そのうえで、実用的には評価がまちまちで、効果がある場合でも絶対ではなく、総合的には否定的な意見のほうが多い、と書いています。
当サイトは、これ以上のことを書けません。 具体的な製品がどうかは、この資料からは分かりません。
同じ章に、匂いの忌避剤についての問いもあります。
Q5 ねずみの嗅覚忌避剤は効くのか。 A:効果を過信しない方がよいが、効く場合もある。ただし、長期間使用していると「慣れ」が生じることもある。
「慣れ」です。 効く場合もあるが、長く使うと慣れる。追い出す道具全般に共通する話として、覚えておく価値があります。
なお、当サイトは超音波駆除器についての商品テストや行政処分の記録を探しましたが、国民生活センター・消費者庁・NITEのいずれにも見つけられませんでした。 見つかったのは、部品の取り付け不良で超音波が出ていなかった機器についての、国民生活センターの相談解決のためのテスト(No.143、2020年7月16日公表)だけです。効果を検証したテストではありません。
訂正2:クマネズミの抵抗性は、どこまで広がっているのか
当サイトの種類の記事には、こう書いてありました。
クマネズミの殺そ剤抵抗性が、どれくらい広がっているか。東京都は「抵抗性対策」という言葉を使っていますが、範囲を示す公開資料を確認できませんでした。
範囲は、この資料に書かれていました。訂正します。
Q13 クマネズミは、殺そ剤を食べないのか、食べても効かないのか。 A:クマネズミは警戒心が強いのと、食性がドブネズミに比べ偏っているため、毒餌を食べにくく、殺そ剤に対する感受性ももともとドブネズミより低いため、殺そ剤にも強い。また、クマリン系殺そ剤を多用している特定の場所では、強い抵抗性を獲得している集団が見られるが、それも都内の繁華街の一部で見られる程度なので、一般家屋ではあまり心配する必要はない。
「都内の繁華街の一部で見られる程度なので、一般家屋ではあまり心配する必要はない」
これは、当サイトが種類の記事で紹介した中野区の記載と、少し方向が違います。 中野区は「クマネズミでは、ワルファリンは効かないことがある。」と書いています。
当サイトは、どちらが正しいかを判定できません。 ただ、2つは矛盾していません。 東京都が言っているのは強い抵抗性を獲得した集団の話で、中野区が言っているのは効かないことがあるという話です。そして東京都自身が、抵抗性とは別に「殺そ剤に対する感受性ももともとドブネズミより低い」と書いています。
つまり、一般の家では「抵抗性のクマネズミ」より先に、「もともと効きにくいクマネズミ」を相手にしている、ということになります。
隙間は1.25cmです
当サイトは種類の記事で、中野区の「1センチメートル程度」を紹介しました。 東京都は、クマネズミについてもう少し細かい数字を書いています。
クマネズミの場合、1.25cmの隙間があれば通り抜けることができる。また、歯がかりがあれば齧って通路にしてしまう。
「歯がかりがあれば齧って通路にしてしまう」 のほうが重要かもしれません。いまの隙間の大きさだけでは足りない、ということです。
行動範囲についても書かれています。
クマネズミの場合は半径約30mぐらい、ドブネズミの場合にはもっと広いと言われている。
半径30mです。 自分の家だけの問題ではない可能性が、この数字から見えます。
1年で9434匹という計算
Q11 ねずみは1年にどのくらい増えるか。 A:一般にねずみの繁殖力は強く、生後3か月から出産し、条件が良ければ年に6~7回分娩し、1回に6~10匹程度の仔を生む。算術的には一つがいが1年で9434匹に増加するという計算があるが、実際には餌の量、巣の場所、仲間同士の争いなど、環境やねずみ集団内部の様々な制限要因があるので、そこまで増えることはない。
そこまで増えることはない、と東京都自身が書いています。
この「9434匹」は、業者の広告でよく見る数字です。 そして東京都は、算術的な計算であって実際にはそうならないと、はっきり打ち消しています。引用するなら、後半まで引用してください。
塞いだら、ねずみはどうなるのか
これは、多くの人が気にする問いだと思います。
Q3 家屋の隙間をふさいだら、逃げ場を失ったねずみはどうなるのか。 A:屋内での餌の保管方法が完全なら、ねずみは餓死する。しかし、隙間は逃げるだけではなく、侵入にも使用されているので、家屋内の状況がそのままなら、従来どおり生息し続ける。
餌があるかどうかで、結果が正反対です。 塞ぐだけでは終わらない、という意味でもあります。
そして、薬を使った場合はこうです。
Q12 殺そ剤を使用した場合、ねずみはどこで死ぬのか。 A:殺そ剤によっては明るい所に出て死ぬと言われているものもあると聞くが、根拠はなく、死ぬ場所は限定されない。殺そ剤が効果があれば、中毒により警戒心がなくなり、行動パターンが変わるので、場所の明暗にかかわりなく死ぬ。
「明るい所に出て死ぬ」には根拠がない、と書かれています。 これも広告でよく見る説明です。死ぬ場所は限定されません。
だから、ネズミの記事に書いたイエダニの話がついてきます。 東京都は、この資料でもこう書いています。
ねずみ駆除を行うとイエダニに刺されるのは、死んだねずみやその巣からイエダニが離れて、人を襲って吸血するからである。
消毒は、どこまで必要か
不安をあおられやすいところなので、そのまま載せます。
Q5 ねずみの糞が落ちていた場所や、ねずみが歩いた場所は、消毒した方がいいか。また、方法は? A:あまり神経質になる必要はない。もし消毒するなら消毒用アルコールでの清拭程度でよい。ただし、調理台や食器、調理器具など、間接的に食品が汚染される危険性のある場所や器具については、よく洗浄、消毒すること。
「あまり神経質になる必要はない」 と東京都は書いています。ただし調理まわりは別、という書き分けです。
当サイトは医療の判断ができません。 症状が出た場合は医療機関にご相談ください。ここに載せたのは、東京都が書いていることだけです。
この記事が書けなかったこと
- この資料の発行年。 記載を見つけられませんでした。平成11〜15年度のデータと旧法人名から、古い資料である可能性が高いとだけ書きます
- 金額が今も同じかどうか。 当サイトには分かりません。そのまま今の相場だと考えないでください
- 東京都以外の自治体が、同じ資料を持っているか。 確認していません
- 超音波の具体的な製品の効果。 資料は製品名を挙げていません
- 中野区と東京都の記載の食い違いの決着。 どちらが正しいかは判定できません
- 55問すべて。 この記事に載せたのは、住まいの相談に直接関わる問いだけです
