最初にお断りします。この記事は、行政の公式資料に書いてあることだけを載せます。
当サイトは駆除をしていません。書けるのは、国と自治体が公表している手順と数字だけです。すべて出典を付けるので、同じ手順で確かめられます。
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確認日:2026年9月11日
確認できたこと
- いきなり侵入口を全部ふさぐと、中で死にます。 墨田区がそう書いています
- 墨田区は、先に追い出してから塞ぐ6段階の手順を公開しています
- 東京都は、クマネズミが通れる隙間を「1.25cm」としています
- 東京都は「ほとんどの建材はかじられる」「アルミニウム程度だとかじられる」と書いています
- 内壁と外壁の間は「絶好の営巣場所」だと、東京都が書いています
- 火災の記録はあります。 東京消防庁のまとめで平成8年から15年に97件、損害額は年間約5,000万円
- ただしその火災の多くは天井裏ではありません。 上位はキュービクル・台所・飲食店でした
- 国の火災統計に「ねずみ」という分類があるかは、確認できませんでした
- 火災に触れている自治体と、触れていない自治体があります
天井で音がしたら、どうするか
東京都の「行政担当者のための ねずみについてよくある質問&回答集」に、そのままの質問があります。
「天井でねずみの音がする。どうしたらいいか。」
回答です。
外から天井に至る間に侵入口があると思われる(壁と屋根の隙間、電線の貫通部分の隙間、壁の破損による開口部など)。侵入口を塞ぐとともに、Q1のAに示すようなねずみに居座られないための対策も行う必要がある。ねずみが出て行かない場合は、指針第三部5を参考に、駆除を行うこと。
侵入口を塞ぐ。 それが行政の答えです。
ただし——塞ぐ順番を間違えると、もっと困ることになります。
いきなり全部ふさぐと、中で死にます
墨田区のページに、はっきり書かれています。
留意点…いきなり侵入口を全部ふさぐと、天井裏や床下などで死んで、悪臭やハエが発生することがあります。
天井裏で死にます。 そして悪臭とハエが出ます。
東京都のQ&A集にも、同じ話が別の角度で載っています。
「家屋の隙間をふさいだら、逃げ場を失ったねずみはどうなるのか。」
屋内での餌の保管方法が完全なら、ねずみは餓死する。しかし、隙間は逃げるだけではなく、侵入にも使用されているので、家屋内の状況がそのままなら、従来どおり生息し続ける。
餓死すると書いてあります。墨田区は、そうなるまでの日数も書いています。
※ネズミは水と食べ物がなければ、4日くらいで死んでしまいます。
天井裏で、4日かけて死にます。 取り出せない場所です。
だから順番があります。
墨田区が公開している6つの手順
墨田区は、追い出してから塞ぐ手順を公開しています。見出しはこうです。
「次の方法で家ネズミを追い出した後、侵入口をふさいでください。」
- 家の中にある食べ物をネズミに盗られないようにします。
- 流し台などにある食器にたまった水や、縁にはねた水滴もふき取っておきます。
- 侵入箇所がいくつもある場合は、最もふさぎやすい場所以外全部ふさいでおきます。(常に出入りしている穴の縁には、黒く薄汚れたラットサインが見られます。)
- 残した侵入口を夕方、仮にふさぎ、翌日の早朝あけます。(閉じ込められると、警戒して侵入しなくなります。)
- これを2から3日繰り返し、夜、ネズミの気配がなければしっかり穴をふさぎます。
- しばらくして、再びネズミの気配があった場合は、まだ他に侵入口があるので、上記の手順を繰り返します。
手順1と2が、食べ物と水です。 塞ぐ話より先に来ています。
手順4がいちばん重要です。 出口を1つだけ残して、夕方に仮にふさぎ、翌朝あける。 理由も書かれています。「閉じ込められると、警戒して侵入しなくなります。」
閉じ込めるのではなく、入りにくくして出ていかせる。 これを2から3日繰り返します。
そして手順6。 再び気配があったら、まだ他に侵入口があるということです。1回で終わるとは書かれていません。
引用は原文のままです。手順3の閉じ括弧が半角「)」なのも原文どおりです。
塞ぐ隙間は、1.25cmです
東京都のQ&A集に、こうあります。
「ねずみがどこから入ってくるのか判らない。どうしたらいいか。」
木造住宅では、ねずみはエアコンのダクトや電線を通すために外壁に開けた貫通部分の隙間、屋根と壁の間の隙間、外壁にできた割れ目や穴、家の基礎の通気口などがねずみの侵入口となっている場合が多い。クマネズミの場合、1.25cm の隙間があれば通り抜けることができる。また、歯がかりがあれば齧って通路にしてしまう。ねずみの侵入口には、体の汚れがついて黒く汚れていたり、足跡、齧り跡などのいわゆるラットサインがあったりするので、これらを目安に侵入口を見つけて塞ぐことが大事である。
1.25cm。 1円玉の直径が2cmなので、それより小さい隙間で入れます。
そして「歯がかりがあれば齧って通路にしてしまう」。 小さい隙間が、大きい隙間になります。
当サイトはネズミの種類の記事で、墨田区の「1から2センチメートル以上の隙間」と、塞ぐ網目の「網目は8ミリ以下のもの」も確認しています。
何なら、かじられないのか
東京都のQ&A集に、そのままの質問があります。
「どのくらい硬いものだとかじられないか。」
ほとんどの建材はかじられる。金属でも、アルミニウム程度だとかじられる。それ以上の硬いものや、歯がかりのない平滑な材質のものは難しいが、鉛が齧られた例もある。
「ほとんどの建材はかじられる」。 アルミもかじられます。
「歯がかりのない平滑な材質」が条件です。引っかかりがなければ、噛みつけません。
(原文の「難しいが、」の読点は、この資料で使われている記号のままです。)
壁の中と天井裏が選ばれる理由
「夜中に壁の中で音がするが、ねずみは壁の中にも入るのか。」
入る。特に床下や天井、戸袋から侵入しやすい。場合によっては壁の割れ目からも侵入する。内壁と外壁の間には断熱材などが入れられており、さらに雨風や外敵からも守られているので暖かく、ねずみにとって絶好の営巣場所である。
「絶好の営巣場所」。 暖かくて、雨風がしのげて、外敵が来ない。
巣の場所についても、書かれています。
「ねずみはどんな所にどんな巣を作るのか。」
ねずみは、人の目に付きにくく、暖かい場所に、布切れや紙くずなどを集めて巣を作る。クマネズミの場合、具体的には、天井裏、押入(あまり使用しない)、壁の中、冷蔵庫やテレビなどの家電製品の後ろ(放熱板があり暖かい)など、さまざまな場所に作る。
天井裏が最初に挙がっています。
音の頻度について
「週に 1 度位の頻度で、天井裏でねずみ音がする。ねずみはいろいろな場所を移動しているのか。」
移動すると云うよりも活動すると表現する方が適切であろう。ねずみは活動しながらさまざまな場所に侵入し、そこに餌や巣の材料になるものがあり、外敵などから守られた安全な場所であれば定着し繁殖場とする。週に 1 回程度ということであれば、その場所も活動範囲の一部と思われる。
毎日でなくても、活動範囲には入っているということです。
クマネズミの行動範囲も書かれています。
クマネズミの場合は半径約 30mぐらい、ドブネズミの場合にはもっと広いと言われている。
半径30m。 自分の家だけの問題ではない、ということでもあります。
火災について、公的な裏づけはどこまであるか
「ネズミが配線をかじって火災になる」という話は、よく見かけます。
当サイトは、公的な資料でどこまで裏が取れるかを調べました。結果を正直に書きます。
東京都が、東京消防庁のまとめを載せています
「東京都ねずみ防除指針」(平成17年2月発行)の「被害の実態」に、件数が書かれています。
東京消防庁のまとめによると、同庁管内では毎年約6,000 から 7,000 件の火災が発生しており、そのうちねずみが原因であることが確認された火災は毎年 12 件ほど発生している。平成 8 年から 15 年の間に起ったねずみに起因する火災の総件数は 97 件で、図6はその発生状況を示したグラフである。火災による直接的な損害額は、年間約 5,000 万円に上っている。
毎年12件ほど。8年間で97件。年間約5,000万円。
これは実在する数字です。 ただし平成8年から15年、つまり20年以上前のデータです。当サイトは、これより新しい公的な集計を見つけられませんでした。
そして、天井裏は上位ではありませんでした
ここが、この記事で書きたかったところです。
同じ資料の続きに、どこで火が出たかが書かれています。
ねずみに起因する火災が起った建物の主な用途と出火箇所は、店舗が33件でそのほとんどは飲食店であった。その他、住宅・共同住宅が22件であった。図7はその出火場所を示しているが、最も多いのがビルのキュービクル(受変電設備)で14件、台所と飲食店舗内が各13件、飲食店の調理場が10件、その他、天井裏、電気室という順であった。
| 出火箇所 | 件数 |
|---|---|
| ビルのキュービクル(受変電設備) | 14件 |
| 台所 | 13件 |
| 飲食店舗内 | 13件 |
| 飲食店の調理場 | 10件 |
| 天井裏 | 「その他」として、順位のみ |
| 電気室 | 同上 |
表は横にスクロールできます。
天井裏は「その他」の側に入っています。 資料の地の文に、天井裏の件数は書かれていません。当サイトは、天井裏が何件だったかを示せません。
用途で見ても、店舗が33件で、そのほとんどが飲食店。住宅・共同住宅は22件です。
つまり、記録に残っているねずみ火災の多くは、家の天井裏ではなく、ビルの受変電設備と飲食店の厨房まわりで起きています。
天井裏で火が出ないという意味ではありません。 ただ、「天井裏にネズミがいる=すぐ火事になる」という読み方を、この資料は支えていません。
火が出る仕組みは、2通り書かれています
① コードをかじる
東京都のQ&A集です。
このため、家電製品の電気コードをねずみが齧ってショートさせたときに巣に引火し、火災を引き起こすことがある。
② 尿がかかる
「ねずみ防除指針」のほうです。
また、冷蔵庫は後部が暖かいのでねずみがよく巣材を持ち込むが、このような状態で基盤部分にねずみの尿がかかるとスパークを起こし、火花が巣に引火して出火することもある。
かじるだけではありません。 尿でもスパークします。そして巣材が燃えます。
どちらも、冷蔵庫やテレビの裏という「暖かい場所」の話です。 天井裏ではありません。
電気事故のほうは、もう少し件数があります
同じ資料に、こうあります。
社団法人関東電気保安協会によると、同協会が管轄する地域内では年間約 70 件前後の小動物による電気設備のトラブルが発生しており、その 6 割近くがねずみによるものである。
年間70件前後の6割近く。 ただしこれは火災ではなく、電気設備のトラブルです。
国の機関も、事例を公表しています
製品評価技術基盤機構(NITE)が、平成29年8月24日に注意喚起を出しています。タイトルはこうです。
「身近な動物が思わぬ火災事故を引き起こします~ペットだけでなく、ネズミやゴキブリなどにも気を付けて~」
ペット及び小動物や害虫による事故は78件(ペットの事故26件、小動物や害虫の事故52件)となっており、そのうち約72%、56件が火災に至っています。
平成24年度から28年度の5年間の数字です。事故78件のうち56件が火災。
ネズミの具体例も載っています。
ネズミが冷蔵庫の電源コードをかじり、断線させたことでショートし、火災が発生した。(平成28年7月、徳島県)
ここでも冷蔵庫です。
国の火災統計に「ねずみ」の分類があるかは、確認できませんでした
正直に書きます。
当サイトは、総務省消防庁の消防白書と、公開されている火災調査の資料を調べました。出火原因の分類に「ねずみ」や「動物」という項目を見つけられませんでした。
出火原因の分類が載っている「火災報告取扱要領」の別表は、消防庁のウェブサイトで公開されていません。 そのため、分類があるかないかを、当サイトは確定できませんでした。
つまり、「全国で年間◯件」という国の数字は、当サイトには示せません。 示せるのは、東京都が載せた東京消防庁のまとめ(20年以上前)と、NITEの事故情報だけです。
自治体でも、書く・書かないが分かれています
火災に触れている自治体
| 自治体 | 記載 |
|---|---|
| 大阪市中央区 | 「ネズミは、食害や感染症・食中毒菌を媒介するばかりでなく、建物の配線をかじることによる火災の原因にもなります。」 |
| 横浜市 | 「電線やガス管をかじって、停電や火災の原因を作ったり、コンピュータケーブルをかじって機能をマヒさせます。」 |
| 日野市 | 横浜市と同じ文が載っています |
表は横にスクロールできます。
火災に触れていない自治体
| 自治体 | 被害として挙げているもの |
|---|---|
| 台東区 | 「家屋や家具、配線をかじられるなどの被害も発生します」——配線には触れるが、火災は書いていません |
| 豊島区 | うるさい/寝られない/商品や食べ物、家具をかじられる/食中毒/ダニ/感染症/店のイメージ低下——火災も配線もありません |
表は横にスクロールできます。
同じネズミの被害について、自治体の書き方が割れています。 当サイトは、どちらが正しいかを判断しません。
集合住宅の場合は、自分の家だけでは終わりません
東京都のQ&A集に、そのままの質問があります。
「集合住宅に住んでいるが、自分の家では駆除しても、また他から来てしまう可能性はあるか。」
その可能性はある。近隣が一斉に駆除を行ったり、ねずみがいない時に防そ工事を施したりするなどの対策が重要である。
「その可能性はある」。
マンションについては、別の質問があります。
「マンションでねずみ被害が発生した場合、どうすればいいか。」
マンションの場合は管理組合が主体となって対策をとることが肝要である。ねずみの被害が発生した場合は、まず被害発生の周知と、アンケート等でマンション全体の被害状況を調べ、侵入経路、拡散状況等を把握する。同時に、ねずみの温床となっている可能性のあるごみ置き場などを調査し、それぞれの結果に基づいて対応策を講じる。対応策としては、防そ工事を管理組合と業者とが協議して実施するとともに(工事費用を修繕積立金等から出すか、臨時に徴収するか等の決定が必要)、ごみの出し方や施設の使用方法についてルールを定め、住民全員に守ってもらうことが重要である。
「管理組合が主体となって」。そして費用は「修繕積立金等から出すか、臨時に徴収するか」の決定が要る、と書かれています。
分譲マンションで天井裏に音がする場合、自分の部屋を塞いで終わりにはなりません。 隣から来ます。
賃貸の場合について、東京都は同じ指針の別の資料(「窓口対応の実践例」)でこう書いています。
集合住宅では居住者全体(住宅全体)での対応が必要であり、分譲住宅の場合は管理組合の理事長、賃貸住宅の場合は家主が主体となる。
賃貸なら家主が主体。 費用を誰が持つかは、この資料には書かれていませんでした。そこは賃貸で害獣が出たら、費用は誰が払うのかに、民法の条文から整理しました。
高いところは、自分でやらなくていいと書かれています
東京都のQ&A集に、こうあります。
高所のため危険であったり、広範囲にわたって塞ぐ必要があるなどの場合は、専門の業者に頼む手もある。
東京都多摩府中保健所のパンフレットにも、同じ趣旨があります。
天井裏や高所などの危険な場所については、専門業者に依頼したほうがよい場合もあります。
行政が、天井裏と高所については業者を選択肢として挙げています。
当サイトは、どの業者がいいかを判断しません。 公表情報を同じ形式で並べた記事は作りました。ネズミ駆除の業者を、公表情報だけで4社くらべたに、保証年数と料金の記載を載せています。その記事には広告リンクがあります。
費用の目安については、ネズミ駆除の相場が、どこにも書いていない理由に、行政の発注額と国の積算基準から書きました。
この記事が書けなかったこと
- 国の火災統計に「ねずみ」の分類があるか。 分類表が公開されていませんでした
- 平成16年以降の、ねずみ火災の公的な件数。 見つけられませんでした
- 天井裏で起きた火災の件数。 資料の地の文に書かれていませんでした
- ネズミの尿による天井のシミ。 公的な記述を見つけられませんでした。ハクビシン・アライグマについては東京都が「糞尿による汚損等(特に天井裏)」と書いていますが、ネズミではありません
- ネズミが断熱材を巣材にするか。 「絶好の営巣場所」という記述はありましたが、断熱材を巣材にするという公的な記述は見つかりませんでした
- 音の種類からネズミかどうかを見分ける方法。 屋根裏で音がする記事にも書きましたが、公的資料で裏が取れませんでした
- 賃貸で費用を誰が持つか。 東京都の資料には書かれていませんでした
今日からできること
- 食べ物と水を片づける。 墨田区の手順で、塞ぐより先に来ています
- ラットサインを探す。 侵入口の縁は「黒く薄汚れて」います
- いきなり全部ふさがない。 中で死にます
- 1.25cmを基準に見る。 それ以上の隙間は通れます
- 冷蔵庫とテレビの裏を見る。 巣があると、火災の記録がある場所です
- 集合住宅なら、管理組合か家主に連絡する。 自分の部屋だけでは終わりません
- 高所は無理をしない。 東京都が業者を選択肢に挙げています
- 糞は素手で触らない。 東京都は「消毒用アルコールでの清拭程度でよい」としつつ、調理台や食器はよく洗浄・消毒するよう書いています
