先に結論を書きます。市役所は「無料で駆除してくれる窓口」ではありません。

ただし、何もしてくれないわけでもありません。 そして自治体によって、やってくれることが正反対です。

当サイトは4つの自治体の公式ページを実際に確認しました。同じ「捕獲器を貸してくれる」制度なのに、片方は市の業者が全部やってくれて、もう片方は捕獲した動物を自分で殺処分することになります。

この記事はすべて自治体の公式ページを出典にしています。 ただし制度は変わります。 必ずご自身の自治体の公式ページと窓口で確認してください。

確認日:2026年9月10日

そもそも、なぜ市役所なのか

環境省のページに、こう書かれています。

狩猟により捕獲する場合を除いて、原則としてその捕獲、殺傷又は採取が禁止されています

野生の鳥獣は、勝手に捕まえてはいけません。 家に住み着いていても同じです。

捕獲するには許可が要ります。

環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて

そして、ここが大事なところです。

多くの都道府県では、(中略)捕獲許可権限の一部を市町村長に移譲しています

だから窓口が市役所になります。 「市役所が駆除サービスをやっている」のではなく、捕獲を許可する権限が市町村に降りていることが多い、というのが実際の構造です。

この記事は法的な助言ではありません。 何が許可されるかは動物の種類・状況・自治体によって変わります。判断はお住まいの自治体の窓口でしてください。

4つの自治体を確認しました

自治体制度の形誰が捕獲器を扱うか捕獲した動物は
世田谷区区が業者を派遣区の委託業者が設置・回収区に連絡
船橋市無料貸し出し市の委託業者が設置・回収市の委託業者が回収
岡崎市檻の無料貸出自分で管理(1日1回以上確認)3日以内に自ら殺処分
山形市費用の補助(業者に依頼する前提)業者が対応

同じ「市役所に相談する」でも、着地点がここまで違います。

世田谷区:区の委託業者が捕獲器を設置する

「世田谷区有害鳥獣対策緊急事業」として、こう書かれています。

被害にあった敷地及び建物に委託した専門業者を派遣し、棲みつかれたところや侵入経路に捕獲器を設置して、捕獲事業を行っています

捕獲器の設置と回収は、区の委託業者がやります。 ただし利用者側にも条件があります。

  • 所有者・管理者の依頼と同意が必要
  • 毎日の見回り
  • 週1回のえさの取り替え(自己負担)
  • 捕獲したときの連絡
  • 設置期間は原則1週間、延長して最長4週間

「申し込めば終わり」ではありません。 毎日見回って、えさを自分で買って替える必要があります。

(世田谷区 ハクビシン・アライグマ対策/最終更新 2026年8月4日)

船橋市:設置も回収も市の委託業者

船橋市は、対象をアライグマとハクビシンに絞って、こう書いています。

無料でのワナの貸し出しを行っています

ワナの設置及び回収(捕獲の有無によらない)は、市が委託する専門業者が行

捕獲された個体の回収も、市の委託業者がやります。 利用者が動物に直接触れる場面がありません。

条件はこうです。

  • アライグマ等の個体本体、または糞・足跡・被害状況などの写真の添付が必須
  • ワナの設置は庭(敷地内)のみ
  • 設置期間は最大8週間
  • 土日祝日と年末年始は委託業者が休みのため、その間は回収できない

写真が要るという条件は見落とされがちです。 「音がするから」だけでは申請できません。先に証拠を残しておく必要があります。

(船橋市 アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出し/最終更新 2026年8月19日)

岡崎市:捕獲したら3日以内に自分で殺処分

ここが、この記事でいちばん知ってほしいところです。

岡崎市はアライグマ・ハクビシン・ヌートリア用の捕獲檻を無料で貸し出しています。 ただし貸出条件に、こう書かれています。

1日1回以上檻を確認すること。

捕獲した場合は、3日以内に自ら殺処分すること。(困難な場合は岡崎猟友会に代行を依頼できます。[有料]ただし、3月中は依頼できません。)

檻の貸出は無料ですが、殺処分の代行は有料です。 そして3月中は代行を頼めません。

「市役所が無料で駆除してくれる」と思って申し込むと、ここで想定と大きくずれます。

檻の中で生きている動物を、3日以内に自分で処分する。それができるかどうかを、申し込む前に考える必要があります。 できないなら、代行費用がかかります。

(岡崎市 アライグマ、ハクビシン、ヌートリア用の捕獲檻の貸出/最終更新 2026年8月28日)

なお、これは岡崎市が不親切なのではありません。 捕獲した特定外来生物などを野に放つことは認められておらず、誰かが処分しなければなりません。その役割を誰が担うかを、自治体が明示しているだけです。 明示していない自治体より、むしろ親切だとも言えます。

山形市:業者に払った費用の半額を補助

山形市には、駆除業者に依頼した費用を補助する制度があります。

山形市内に住所を有し、山形市内に所有する建物や土地にタヌキ・ハクビシンが侵入する被害を受けており、駆除業者に捕獲を依頼する個人の方

経費の2分の1、上限は1万5千円

そして、ここに落とし穴があります。

交付決定通知の交付前に実施したものは補助対象外

先に業者を呼んで作業してもらうと、補助金は出ません。 順序が決まっています。

  1. 市に捕獲等の許可を申請する
  2. 補助金の交付申請書を出す
  3. 市から交付決定通知をもらう
  4. そこから業者の作業を開始する

「とりあえず業者に来てもらってから、あとで補助金を申請しよう」は通りません。 急いでいるときほど、ここを飛ばしがちです。

(山形市 タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業/最終更新 令和8年7月31日)

市役所がやらないこと

4つの自治体を通して、共通してやっていないことがあります。

追い出したあとの、侵入口の封鎖・清掃・消毒です。

世田谷区の公式ページには、はっきりこう書かれています。

ご自身で対策を行い、予防することが大切です

そして、ねぐらを塞ぐ工事や追い出しは自費で行う工事だと明記されています。

ここが、市役所と業者の境界線です。

  • 捕獲:自治体の制度が使える場合がある
  • 追い出し・侵入口の封鎖・糞尿の清掃・消毒:自費

害獣被害でいちばん厄介なのは、実は捕獲ではありません。入ってきた穴を塞がないと、また入られます。 そこは自治体の制度の外側です。

世田谷区自身が「相見積もりを取れ」と書いています

もうひとつ、世田谷区の公式ページに書かれていたことです。

複数の見積書を取り寄せ、工事内容や請負金額について確認することをお勧めします

行政が、相見積もりを勧めています。

当サイトも同じことを言っています。業者のサイトに載っている「他社との比較」は、比較される側が作ったものです。 4社を公表情報だけで並べた記事を書きましたが、それも当サイトが作ったものです。最終的に金額を比べられるのは、自分で取った見積書だけです。

自分の自治体を調べる手順

この記事に出てくる4自治体以外にお住まいの方が、ほとんどだと思います。 調べ方を書いておきます。

① この形で検索する

(自治体名) ハクビシン 捕獲
(自治体名) アライグマ 捕獲器 貸出
(自治体名) 害獣 補助金

lg.jp で終わるURLだけを見る

lg.jp は地方公共団体しか使えないドメインです。業者のサイトが書いている「◯◯市の制度」ではなく、市の公式ページを直接読んでください。 業者のまとめ記事は更新が止まっていることがあります。

③ 最終更新日を見る

この記事で確認した4自治体は、いずれも2026年7〜8月に更新されていました。 制度は動きます。古いページの内容を前提に動かないでください。

④ 確認すべきことは5つです

  • 対象になる動物は何か(ハクビシンは対象だがイタチは対象外、という自治体があります
  • 捕獲器の貸出や業者派遣があるか
  • 捕獲した動物を誰が処分するのか
  • 補助金があるか、申請の順序はどうか
  • 追い出し・封鎖・清掃は制度の対象か(たいてい対象外です

それでも業者に頼むことになる場合

自治体の制度を使っても、侵入口の封鎖と清掃は残ります。 そこは自費です。

当サイトでは、害獣駆除業者を公表情報だけで調べた記事を出しています。順位はつけていません。 対応エリア、代表者名、資格、所属団体、保証、料金が公開されているかどうかを、同じ形式で並べただけです。

そして、業者に頼む前に自治体に電話してください。 補助金がある自治体では、業者を呼ぶ順序を間違えると補助が受けられません。

出典

  • 環境省「捕獲許可制度の概要」(env.go.jp)(2026年9月10日確認)
  • 世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」(最終更新 2026年8月4日/2026年9月10日確認)
  • 船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出し」(最終更新 2026年8月19日/2026年9月10日確認)
  • 岡崎市「アライグマ、ハクビシン、ヌートリア用の捕獲檻の貸出」(最終更新 2026年8月28日/2026年9月10日確認)
  • 山形市「タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業について」(最終更新 令和8年7月31日/2026年9月10日確認)

この記事に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ、記事内に訂正を追記します。 自治体の担当課の方からのご指摘も歓迎します。

制度は変わります。 この記事の内容は確認日時点のものです。実際に申し込む前に、必ずご自身の自治体の公式ページと窓口でご確認ください。