最初にお断りします。この記事は捕獲のやり方を教えるものではありません。
当サイトが書けるのは、行政と研究機関の公開情報から確認できたことだけです。すべて出典を付けるので、同じ手順で確かめられます。
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確認日:2026年9月10日
確認できたこと
- タヌキは日本列島が自然分布に含まれる在来種です(国立環境研究所)
- 在来種なので、外来生物法の防除の枠に入りません
- そのため、罠に入っても放獣される自治体があります(船橋市・八尾市)
- 環境省は2022年、大都市圏とその周辺で分布が拡大していると公表しました
- 東京都は、タヌキをいかなる場合においても保護の対象としていないと明記しています
- 千葉県は、疥癬が人にもうつると明記しています
- 当サイトが調べた131自治体のうち、タヌキを制度の対象にしていたのは9自治体でした
まず、増えています
環境省が2022年9月30日に、タヌキ・キツネ・アナグマの生息分布調査の結果を公表しました。2010年度から2021年度までの約10年間を対象にした調査です。
タヌキについて、こう書かれています。
東京都、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府といった大都市圏とその周辺での分布拡大の傾向がみられ
山の動物ではありません。 生息情報は51,325件集まっています。
同じ調査で、アナグマについても「近畿や九州、首都圏周辺での分布拡大傾向」が報告されています。都市部で在来の中型獣が増えている、というのが国の調査結果です。
在来種であることが、そのまま不利に働きます
国立環境研究所の侵入生物データベースに、タヌキの自然分布が書かれています。
ベトナム北部,中国東部~東北部,モンゴル東部,ロシア南東部,サハリン,日本列島と周辺離島
日本列島が入っています。 タヌキは在来種です。
当サイトは自治体データベースの記事で、多くの自治体の制度が、特定外来生物であるアライグマの防除の枠で作られていると書きました。ハクビシンですら、その枠から外れて対象外になる自治体が33ありました。
タヌキは外来種ですらありません。 さらに外側です。
その結果が、これです。船橋市は捕獲用ワナを無料で貸し出していますが、対象を外来種に絞っています。タヌキ等の在来種は放獣されます。
八尾市は、もっとはっきり書いています。
アライグマ・ヌートリア以外の有害鳥獣等(イタチ・ハクビシン・タヌキ・犬・猫など)が捕獲された場合は、借用者自身で放獣してください。
借りた罠にタヌキが入ったら、自分で逃がすことになります。
岡崎市は檻を無料で貸し出していますが、対象はアライグマ・ハクビシン・ヌートリアで、イタチ・タヌキ・キツネ等は対象外です。柏市のFAQにも、こうあります。
ハクビシン・タヌキは、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」により許可なく捕獲することが禁止されていることから、柏市で駆除は行っておりません。
「罠を借りられた」ことと「タヌキを捕獲できる」ことは、別の話です。
制度の対象にしていたのは、87自治体中9でした
当サイトは131自治体の制度を調べました。捕獲器の貸出・業者派遣・補助のいずれかがあったのは87自治体です。
そのうち、タヌキを名指しで対象にしていたのは9自治体でした。
- 山形市(山形県・貸出):ハクビシン・タヌキ
- 宇都宮市(栃木県・貸出):ハクビシン・タヌキ・アライグマ
- 八王子市(東京都・業者派遣):ハクビシン・アライグマ・タヌキ・アナグマ
- 金沢市(石川県・貸出):ハクビシン・タヌキ・アナグマ
- 松本市(長野県・貸出):ハクビシン・タヌキ等
- 松江市(島根県・貸出):アライグマ・タヌキ・アナグマ等
- 伊勢崎市(群馬県・業者派遣):ハクビシン・アライグマ・タヌキ・キツネ
- 厚木市(神奈川県・貸出):アライグマ・ハクビシン・タヌキ・アナグマ等
- 福山市(広島県・貸出):注記に「タヌキ」を含む
アナグマの5自治体より少しだけ多い、という水準です。まず、自分の自治体がタヌキを対象にしているかを確認してください。
なお、静岡市には有害鳥獣捕獲報償金の制度があり、捕獲許可を得て捕獲したタヌキ1頭につき5,000円が交付されます。山形市の補助事業も、名称が「タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業」です。自治体によっては、はっきり対象にしています。
東京都は「保護の対象としていない」と書いています
東京都環境局のページに、こうあります。
東京都では、農林水産業、生活環境、生態系へ恒常的に被害を与える野生鳥獣の中で、ニホンジカ、イノシシ、ニホンザル、タヌキ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、カワウについては、いかなる場合においても保護の対象としていません。加えて、アライグマ、ハクビシン等の本来生息していなかった国内外の外来種についても保護の対象外となります。
タヌキは、在来種でありながら、傷病鳥獣の保護の対象から外れています。
ここは誤解しやすいので、はっきり書きます。 これは「保護しない」という意味であって、「自由に捕まえてよい」という意味ではありません。 タヌキは環境省の狩猟鳥獣一覧の筆頭に載っていて、イタチやハクビシンと同じく、狩猟か捕獲許可の枠に入る必要があります。
疥癬は、人にもうつります
ここがこの記事でいちばん実用的なところです。
千葉県の自然保護課が、疥癬についてのFAQを公開しています。まず、病気そのものの説明です。
疥癬はダニの寄生により発症する脱毛・かゆみを伴う皮膚病です。
原因になるダニも書かれています。センコウヒゼンダニ、ショウセンコウヒゼンダニ、ショクヒヒゼンダニの3種が確認されているとのことです。
そして、疥癬のタヌキを見かけたらどうすればよいか、という問いへの回答です。
疥癬は人にもうつる病気ですので、感染したタヌキに接触をしないようにすることが大切です。
人にもうつる、と県が明記しています。
東京都環境局も、毛が抜けたタヌキについて注意を出しています。
都内において毛が抜けているタヌキ等の野生動物の目撃情報が寄せられています。これはダニの一種であるヒセンダニによって引き起こされる、疥癬(かいせん)という皮膚病に感染しているものと思われます。
弱っている個体を見つけた場合の対応も書かれています。
人が近づいても逃げないくらい弱っていたところを発見した場合、段ボールやプラスチック製のポリバケツ等を被せ、重しを載せて確保していただければ、東京都が回収業者を伺わせます。
そして、注記があります。
決して素手で触らないでください。
弱って動かないタヌキを見ると、つい手を出したくなります。 そこが、いちばん危ないところです。
ただし、都県で考え方が違います。 千葉県は、保護についてこう書いています。
タヌキが疥癬に感染して個体数が減少することは、昔から自然の中で起きていることですので、人が介入することは生態系を乱すことにつながります。
東京都は回収を引き受け、千葉県は介入しないという立場です。 どちらに従うかは、お住まいの自治体の記載に合わせてください。
医療の判断は、当サイトの範囲外です。 皮膚に症状が出た場合は医療機関にご相談ください。
餌やりが、流行を助長します
千葉県が、理由まで書いています。
タヌキに餌をやると、タヌキの栄養状態がよくなり、数が増えるほか、ちらばって生活しているタヌキを餌をやっている場所に集めることになります。このことは、タヌキ同士の接触の機会を提供することになり、結果として流行を助長させる要因となる
意図して餌をやらなくても、同じことが起きます。 生ごみ、ペットフードの置きっぱなし、落ちた果実。「集める」結果になれば同じです。
アライグマに、生息地を奪われています
国立環境研究所の侵入生物データベースの備考に、アライグマとの競合によってタヌキの生息地が奪われているという趣旨の記載があります。
同じ屋根裏に入る動物どうしで、置き換わりが起きているということです。 当サイトがアライグマの記事で書いたとおり、アライグマは特定外来生物です。タヌキだと思っていた相手が、いつのまにかアライグマに替わっていることがあり得ます。
だから屋根裏の音の記事で書いたとおり、尾に縞模様があるかどうかは必ず見てください。 そこで、適用される法律が変わります。
見分け方
広島県と神奈川県の記載です。
| 見分けるポイント | |
|---|---|
| タヌキ | 「眉の白さはありません。また、耳もアライグマほどしっかりとは立っていない」(広島県) |
| アナグマ | 「タヌキよりも足が短くずんぐりとした印象です」(神奈川県) |
表は横にスクロールできます。
タヌキはアライグマともアナグマとも間違われます。 詳しくは屋根裏の音の記事に4種を並べています。
この記事が書けなかったこと
- タヌキが住宅のどこに入るのか。 屋根裏なのか床下なのか、行政の資料で確認できませんでした
- 疥癬が人にうつった場合の症状や治療。 医療の話は当サイトの範囲外です
- 駆除の料金相場。 依頼していないので金額を書けません。費用の記事に、出典のある数字だけを並べています
- 全国の自治体の対応。 確認したのは131自治体です
- タヌキによる住宅被害の件数。 公表している資料を見つけられませんでした
